ナナニジ4周年なので、この1年の僕とナナニジの話をしようか

もうあの日から1年が経っていた。

花川芽衣とお別れしたあの日、世間はクリスマス・イブで浮かれているというのに僕は一人放心していた。
2週間前にあった公式からのリリースがある前から、ある程度覚悟はしていたんだけど。

実際、夏のナナニジライブ定期公演あたりから彼女は休みがちになっていたし、体の線はドンドン細くなっていた。
傍目からもなにか良くないことが起こっているのは一目瞭然だった。

 

2019年12月24日のBirthday Event 2019。
当日、高辻麗が急遽体調不良でステージ欠席が決まった。

そして、挨拶だけの予定だった芽衣は、最後のステージに立った。
歌ったのは数曲だったし、アニメの主題歌となる新曲には組み込まれていなかったけど。

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一番泣きたいはずのメンバーはみんな笑顔だった。
僕も泣いた。でも笑おうとした。うまく笑えていたとは思うけど、すべて終わったと思った。夜通し飲んで、気がついたら朝になっていた。
今まで味わったことのないくらい非道い二日酔いで、翌日の仕事は体調不良で突発で休んだ。

花川芽衣という存在が、「偶像」から「概念」になったあの日。
「未来があるから」はあの日から色を失い、僕の中で未来がない曲になった。

 

 

2019年12月25日。
ぼんやりと気だるいクリスマス。
僕はナナニジ専用のTwitterアカウントを消した。
もともとソロ参戦を是としていたからファン同士の横のつながりなんてなかった。
このまま自分もナナニジ界隈から消えようと思った。

花川芽衣が存在しないナナニジはもう、追えなかった。

僕はもうアイドルを応援するというには歳を重ねていて、いい潮目かなとさえ思っていた。
惜しむらくは、22/7プロジェクトのひとつのゴールとなるアニメ化を見届けることができなかったことだ。
でも…花川芽衣が演じない斎藤ニコルを受け入れられる自信も勇気も無かった。

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12/28、aniplex公式youtubeの告知動画 キャスト変更版に差し替えられた

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こちらが差し替え前のアニメ特報

その4日後の12月28日。
延期に延期を重ねていた、「何もしてあげられない」の花川芽衣分の個別握手会の振替日。
ナナニジから卒業する花川芽衣に、僕もナナニジファンを卒業すると伝えるためだけに重い腰を上げた。

そこで僕は彼女とあるひとつの約束をした。
詳細は伏せるけど、それは僕にとってとても残酷なことで。
ともあれ、僕はナナニジを再び応援しなくてはならない理由ができた。

そして一度は行かないと決めていた12月30日の定期公演#12も結局参加することになる。
定期公演は花川芽衣どころか高辻麗倉岡水巴もいなかった。フルメンバーに程遠い公演だった。
12か月駆け抜けた過酷な道程の終着点は8人+河瀬詩。
メンバー全員はさすがに疲弊していたように見えた。

意気込んで行ったものの、僕はまだ気持ちの整理なんて付いてなくて、飾らずに正直に言うとあの日の時点では河瀬詩に斉藤ニコルの姿は全く見えなかった。

花川芽衣がいないナナニジというリアルをこれでもかと見せつけられた。
こんな辛い現実を真正面から受け入れなくてはならないのかと葛藤した。

やっぱり芽衣、君はとても残酷だ。

 

年始のabemaTVの特番、1月3日のアットジャム。2020年も元旦から勢いは止まらなかった。

そして、彼女たちの血の滲むような努力とその成果の結晶であるテレビアニメシリーズが開始した。素晴らしかった。泣きたくなるくらい、圧倒的なクオリティだった。

テレビアニメの効果は物凄くて、ナナニジを応援するファンが日に日に倍々で増えていくのが目に見えてわかった。

いつしか花川芽衣という言葉自体が、触れてはいけない禁句となっていた。
メンバーも、ファンも、関係者も。
花川芽衣という存在が、はじめから無かったようにすら思えた。
その事実に目眩すら覚えたけど、時は淡々と同じピッチで進み続ける。

そんな勢いの中、特筆すべきは河瀬詩のパフォーマンスだった。
2月27日、本来であればムズイツアーの予定だったZepp Tokyo
わずか2か月で河瀬詩はナナニジメンバーとして完璧にアクトした。
そこにいるのは決して花川芽衣の代役ではなかった。
斎藤ニコル役の河瀬詩という1人のアイドルが、もうそこにいたのだ。

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信じられるか?まだたった2か月だぞ・・・

ナナニジ定期公演#12の時は全く歌えなかったはず。
ソロコーナーのドラムはお世辞にもまだ上手いとは言えなかった。頑張っていたけど。
そりゃそうだ。数日前まで北海道に住んでいた、ただの女の子だ。
そこからちょうど60日で9曲の歌唱とダンスをマスターするって一体どれだけの才能を秘めているのだろう。
天才じゃなくて詩ちゃんは努力したんだよ、といえば聴こえはいいのだけど、決してそれだけでは説明できないと個人的に思う。
何か見えない神通力のようなものが、それこそ、花川芽衣がナナニジに残した魂が後押ししているのかもしれなかった。

 メンバーのデビューして2か月を思い返してみる。2017年2月くらい。
まだ顔すら出して無かった頃だ。配役も本決まりじゃない。
日々レッスンの毎日だった。1万人から選ばれた11人だったのに、だ。
初めてのイベントである朗読劇が2017年4月21日だったから、ステージにすら立ててない。
そもそも初回の朗読劇は声だけだ。

 

そんな中covid-19の足音が徐々に、だけど確実に侵食してきた。
気付けばテレビアニメは終わり、計算中の2期がはじまり、アプリゲーム音楽の時間が配信された。個別握手会はオンライン形式の個別トーク会となった。

運営もメンバーも、応援するファンの僕らも戸惑いながら新しい日常に慣れていく日々だった。

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いつの間にかzoomにも慣れてしまった

 

そんな中、高辻麗が体調不良の休業から復帰した。
復帰後の麗は水を得た魚の如く、本来の彼女の実力を惜しみなく放出し始めた。
失敗を恐れなくなったという捉え方が一番近い。

夏1番の暑い日の個別トーク会。
詳細は書かないけど、限られた時間ではあったけど、この半年にあったありったけの想いを伝えた。れったんはただただ共感してくれた。
そしてその日から高辻麗が推しとなる。実に8か月ぶりの推し変だった。
れったんについては別で記事を書こうと思う。

 

9月20日。アニバーサリーライブ2020でついに倉岡水巴が復帰。
1年越しにナナニジは11人揃ってのステージとなる。
covid-19によってリアルイベントは片っ端から中止や無観客になっていたので、集客してのライブは2020年初めてだった。

昼の部の1曲目、君はMoonのintroで天城サリーが満面の笑顔で会釈をした。
既に僕は涙で破顔していた。

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君はMoonとサリーの会釈

この日のライブは当日券が出なかった。前売りで完売したということだ。
完売は以前もちょくちょくはあったけど、去年のバースデーイベントですら当日券は販売された。

covid-19で席数を絞っていた関係もあるのかもしれないけれど。
それでも、いつの間にかナナニジはチケットが前売り完売するほどの人気グループになっていた。

この日を待ちに待った。アイドルグループとしては早咲きではなかったかもしれない。
でも、ようやくこの日が来た、と思った。
ナナニジにとって待望の、ようやく全盛期であり円熟期の始まりだった。

 

快進撃は止まらない。

TIFオンラインやelevenライブも11人だった。このままずっと11人が当たり前だと思った。
イベントやライブ以外にも、計算中、割り切れないラジオ、メンバーの日々のつぶやきやインスタやSHOWROOM配信やtiktokやブログや舞台…エトセトラエトセトラ…
不穏なほど、充実し過ぎていた。

12月1日。武田愛奈の学業専念による一時活動休止が発表となる。
今までのメンバーにあった体調不良とは違う。

ちょっぴり残念ではあるけど、もう会えなくなるわけじゃない。芽衣の時の喪失感は毛ほどもない。少ししたら戻ってくる安心感。

 

そんな中、昨日の生放送での発表。帆風千春の卒業。
僕は1年ぶりのその単語に、やっぱり1年前と同じように真っ白になった。

言いたいことはたくさんあるけど言葉が紡げないので稚拙な表現になる。
声優としてキャリアを積むためにはナナニジというグループが枷となってしまうことを、帆風千春はある時にわかってしまったのだろうと思う。
だから最後までリーダーとして先陣を切ったんだと思う。
率先してお手本を見せたんだと思う。
不器用でポンコツで損する役回りばかり。
本当は、甘えん坊で末っ子タイプでワガママでぐうたらなの知ってるんだ。
でも、そんな帆風千春を僕は心から尊敬する。

 

あらためて、ナナニジ4周年おめでとうございます。
僕はまだまだ君たちを応援し続けることになりそうです。
あの日の約束が、いつか叶うその日まで。